超音波カッター自体は多方面ですでに使われていますが、ここで紹介する工法は現在自動車内装などを主な適用先としています。
すなわち、複雑な三次元曲面を持ち、比較的軟質な素材ではありながらガラス繊維などを含み、また厚みもある素材を対象としています。
カッター刃には高速度工具鋼や超硬合金を使用し、振動子、発信機は高速、高負荷切断を可能にする仕様です。
振動子にはPZT電歪振動子を用い、安定した切断を得るため自動追尾制御を行っています。
切断ツールの保持には6軸または7軸垂直関節ロボットを用いることで、本工法に適した動きを得ています。
本工法を支える技術としては、材料固定技術のほか、材料圧縮切断、ならい切断、切断条件最適化、(送り速度、方向、刃の姿勢、振動方向など)、刃の状態検出、自動研磨、オフラインティーチング、ロボット技術などが挙げられます。
カーペットやインパネなどの複雑な軟質素材を複雑な形状に、かつ工業的に切り抜く場合、従来からウォータージェット切断や、プレス機械を用い型抜などが行われてきました。
①ウォータージェット切断は、高速かつ多様な形状での切断が可能な反面、諸設備やランニングコスト、
水を使用することによる被切断材料への影響、切断面に発生するバリなどの課題もあります。
②レーザー切断は、材料の溶けや発火の危険があります。
③プレス機械の型抜きは、大量生産向きですが、設計変更の対応に難があります。
上記の3点の方式の欠点を解決したのが、超音波カッターを用いた切断方法です。
※この工法は、政府施策の「異分野連携新事業分野開拓」(通称・新連携)のひとつとして、2005年9月に認定を受けております。
適用例 |
◆自動車内外装部品 ・フロアーカーペット、成型天井、サンシェード、ドアトリム、インパネ、エアスポイラー CFRP部品、コンソールボックス、防音・防振・断熱部品など ◆アパレル、衛生など各種資材、各産業分野製品 |
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素 材 |
◆各種難切削素材 ・不織布、樹脂含浸素材、ガラス入り繊維、ゴム ・熱可塑性プラスチック、フィルム、複合材など |
加 工 |
◆原反加工、直線・曲線加工、穴あけ、トリミングなど ◆加飾フィルム成形の仕上け(端面合わせ切り、端材切断)など |
特 徴 |
◆きれいな切断面、高い加工自由度 ◆廃水・切り屑処理不要(環境にやさしい) ◆イニシャルコススト、ランニングコスト低減 ◆低騒音・省スペース、高効率設計、高速・高精度加工 ◆良好なメンテナンス性、幅広い製品バリエーション (ロボット台数、ワークセット方式など製品用途別に各種選択可能) ◆独自開発のオフラインティーチングソフト (ティーチング工数の大幅削減、サイクルタクト試算、ロボット相互干渉チェックなど) |